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先々週と先週、高松市で立て続けに2つのシンポジウムがあり、私も双方に講演者、パネリストとして参加してきました。
一つは、1月18日(水)に行われた総務省主催の「定住自立圏構想推進シンポジウム」。
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定住自立圏構想というのは、これからの人口減少、超高齢社会において、地方が生き残りを図るために、地域における中心となるべき都市が広域的な将来構想を掲げ、周辺の市や町と相互協力協定を結んで、人口や文化の流出を抑制し、将来にわたる魅力と活力のある地域を作っていこうというもので、総務省が旗振り役となり、全国で展開しているものです。高松市は、この構想が発表されるや否やいち早く中心都市として名乗りを上げ、平成22年度から周辺の綾川町、三木町、島嶼部の直島町、土庄町、小豆島町の5町との間で「瀬戸高松広域定住自立圏」として事業を展開しています。そして、この4月に
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は、さぬき市と東かがわ市が仲間に加わり、より広域で取り組むこととしています。
シンポジウムでは、市民や行政関係者ら約200人が集まりました。県外からも北は青森県、南は鹿児島県から見えていました。「文化芸術の振興による地域力の創造に向けて」というテーマの下、日本における創造都市研究の第一人者である大阪市立大学大学院創造都市研究科教授・佐々木雅幸氏の基調講演が行われました。定住自立圏の圏域で、中心都市を核として魅力のある創造都市を目指していくべきとの趣旨で、イタリアのボローニャなどの先進事例を紹介していただき、これから魅力ある創造都市づくりを目指している本市にとっても大いに参考になり、また励まされた講演でした。
続いて、私から瀬戸・高松広域定住自立圏の目指すべき将来像や主な取組み内容について紹介しました。その後、パネルディスカッション。アサヒビール芸術文化財団の加藤さんをコーディネーターとして、地元NPO法人アーキペラゴの三井さんと、三菱UFJ総研の太下さん、総務省の牧課長と私で意見交換をしました。 私からは、「創造性豊かな海園・田園・人間都市へ」というテーマの下、更なる文化芸術の持つ創造性を生かした産業振興や地域活性化の取組、良好な都市景観の形成と環境美化の推進などにより、高松の都市ブランドイメージの向上を積極的に図っていき、その成果を広域に波及していく考えなどを説明させていただきました。
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もう一つは、22日(日)に行われた本市と香川県都市計画協会が主催した「たかまつ美しいまちづりシンポジウム2012」です。
本市では、コンパクトで美しいまちづくりをより積極的に進めるために、美しいまちづくり条例を制定し、その趣旨を実現するため強制力を持ち、高さや色の規制も含めた景観法に基づく新たな景観計画を策定、都市景観条例を改正しようとしています。このような本市の美しいまちづくりに関する基本的な考え方や今後の景観行政の展開について、より市民に理解し、積極的に美しいまちづくりに参
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画、協働してもらうために、このシンポジウムを開いたものです。
まず、主催者として挨拶するとともに、シンポジウムの冒頭では、良好な都市景観の向上に寄与していると認められた建築物と活動に対して表彰する「高松市美しいまちづくり賞」の表彰式も執り行いました。
そしてシンポジウムでは「暮らし訪れたいと感じるまちに」をテーマに、早稲田大学の佐々木葉教授の基調講演と、香川大学の関教授をコーディネーターに全国初の景観計画を策定した近江八幡市の冨士谷市長、銀座街づくり会議の竹沢さん、丸亀町商店街の古川理事長と私でパネルディスカッションを行いました。
佐々木教授の講演は、そもそも景観とは何か、というところから始まり、国内の様々な事例や香川、高松の景観の良いところ、悪いところなどを具体例を示しながら話していただき、非常に参考になりました。特に、里山とため池の景観は讃岐平野独自の魅力的なものとして大切に保存していくべきだとのご意見は、我々が身近にありすぎてつい見落としがちになる価値を再認識させていただきました。
パネルディスカッションでは、日本で最初に景観計画を作って水郷を保全し、今では320万人の観光客を集めている近江八幡市の先進的な事例、ほぼすべてのビルや屋外広告のデザインをチェックする銀座のデザインルール、地元丸亀町商店街の再開発での景観デザインの考えかた、がそれぞれパネリストから紹介され、いずれも今後の本市の景観行政に非常に役立つ示唆に富んだものでした。
特に、自治会活動と風景保全が密接に結びついていて、まさに協働による美しいまちづくりが実践されている近江八幡市の事例とデザイン審査にあらかじめ決まった数値基準等はなく、「銀座らしいかどうか」で判断されるという銀座のデザインルールには、それぞれ「流石!」とうならされました。
この2つのシンポジウム。取り扱った行政分野と内容は異なりますが、議論の先におぼろげに見えてきた本市が目指すべき理想とする都市像は共通しているように思います。
それは、私が1期目のマニフェストで掲げた「文化の重視と人間性の回復を基本理念とした真の田園都市・高松」であり、2期目のマニフェストのテーマとした「創造性豊かな海園・田園・人間都市」です。その意味で、これまでは公約の言葉の上だけのものであったものが、ようやく具体的な姿として浮かびあがろうとしているとの手ごたえを感じたシンポジウムでもありました。
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