そして、歌舞伎鑑賞。私が見たのは、午後の部で、出し物は、「夏祭浪花鑑(三幕)」と「供奴」。熱心な歌舞伎ファン、海老蔵ファンが県外からも多数来ていたようで、金丸座は、一種異様とも言える雰囲気で盛り上がっていた。市川海老蔵も、さすがの存在感に「花」があった。また、他の役者も含めて、見せ所の多い、魅力たっぷりの演技で十分に楽しませてくれた。 客席に限りがある小さな芝居小屋ならではとも言えるが、これだけ、舞台と客席が一体となった雰囲気は、確かに現代の劇場やホールでは、決して味わえないものであろう。音響効果も素晴らしく、まさに、生の雰囲気、空気が支配していて、客も自然と物語の中に引き込まれていって、五感を揺さぶられるのである。歌舞伎を、演目を、そして金丸座と言う芝居小屋を十分に堪能して、満足のいく芝居見物であった。
ちなみに、「夏祭浪花鑑」は、主人公が義理が絡んだ諍いから舅(義理の父親)を殺してしまうと言う話。「父殺し」というテーマは、最近触れたものだけでも、「カラマーゾフの兄弟」、「海辺のカフカ」、「オイディプス王」とあり、古今東西を問わず、人間の生き様を描写する文学、物語の主要テーマである事件なんだ、と頭の中でシナプスが「アハッ」とばかりにつながった。
こんぴら歌舞伎大芝居は、観光資源としても超一級品である、と再認識。 高松市の観光にも、この金比羅さんとこんぴら歌舞伎との連携を拡充することはできないものか、とオフの時間を楽しむつもりがついつい仕事モードも入ってしまうのは悲しい性ではある。 でも、昼に食べた「宮武」のうどんと天ぷらの満足感も併せて、十分に楽しめ、充実した休日であった。
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