私が、高松市長に就任する以前から、個人的にもぜひ実現させたいと思っていた事業が完成し、その記念式典が先ごろ行われました。 活動報告でも記した、中央公園に「イサムノグチ遊具」を設置する事業です。
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イサムノグチ氏は、言うまでもなく、20世紀を代表する世界的な彫刻家で、金子正則元香川県知事の招聘により、日本におけるアトリエを旧牟礼町に構え、亡くなるまでの約20年間にわたって、旧牟礼町において石を中心とした彫刻の制作を行っていた高松市に縁の深いアーティストです。 そのイサムノグチ氏と高松市との結びつきをアピールすることにより、同じくイサムノグチ氏と縁の深いニューヨーク市や札幌市とも高松市が直接的に結びつくことができ、新たな創造、発展の機動力が生まれるのではないか、ということを、市長選挙出馬の記者会見(平成18年11月6日)でも喋らせてもらいました。
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また、イサムノグチ氏の作品制作の助手として長年付き添われていた、現イサム・ノグチ日本財団理事長の和泉正敏さんとも以前から面識があり、帰郷した時にご挨拶に行くと、喜んで迎えてくれた思い出もあります。
そのような思いが積み重なり、いつか、高松の中心部に、イサムノグチ氏の作品をシンボルとして設置したいと思っていたのですが、それが今回、国の財源措置のもとに市内全域の公園遊具をリニューアルする一環として、中央公園にイサムノグチ氏設計の3基の遊具(オクテトラ、プレイスカルプチャー、シーソー)を設置することが実現できました。本当に嬉しく思っています。
イサムノグチ氏の生前の文章や発言録を見ていると、彼が「子供の遊び場」というものに特別な思いを抱いていたことがわかります。その代表的な彼の言葉を最後に記して、この事業完成の記念として残しておきたいと思います。
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〈子供の世界〉Playground ブランク―ジは、芸術家が子供であることをやめた時、芸術家でなくなるであろうと言った。子供らは大人とは別様に世界を見ているに違いない。そして世界の可能性についての意識はもっと素朴で、彼らの能力と調和していると私は思う。大人が子供のような想像力をもったとすれば、世界は一変して全く新しい体験として眼に映るに違いない。私は遊園地を、単純な、不思議な感情を喚起する、形態と機能への入門書として、したがって教育的なものと考えたい。子供の世界は、新鮮で明るく澄んだ、はじまりの世界であろう。
(イサムノグチ著/小倉忠夫訳「イサムノグチ ある彫刻家の世界」美術出版社1969年)
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