ちなみに、落選した元市長が、商店街の中に奥さんが作った託児所の保父さんとなり、その信用によって、子どもを預ける人が増え、それに併せて商店街も明るく元気になった、というのは、実話だそうだ。まさに「人間万事塞翁が馬」、何が功を奏するかはわからないものである。
「新生ふるきゃら」は、旧「ふるさときゃらばん」が自己破産したため、メンバーの有志が別会社を作り、舞台装置等を継承して、各地で公演を行っているものだそうだ。それだけに、スタッフも最小限でやっていて、大道具、小道具もほぼすべてを役者が動かし、出し入れしていた。いかにも手作り感のあるステージなのだが、楽器を生演奏していた音楽担当の3人も含めて、演技、ダンス、歌・音楽すべてにおいてレベルは非常に高く、途中休憩を挟んでの約2時間、全く飽きることなく楽しめた。そして、昔の「ふるきゃら」の公演と同様、あるいはそれ以上に元気をもらえた。
その意味では、このミュージカルの舞台そのものに、商店街を再生させるためのヒントがあったように思う。 地方都市の商店街の活性化の鍵は、町を良くしようという前向きな気持ちであり、人と人との絆とチームワークであり、手作り感を失わないことである、と「新生ふるきゃら」が作りだしたこのステージを見て確信したのである。
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