NHKの連続人形劇「ひょっこりひょうたん島」の台本を始め、私が若い頃読んだ本でも「ブンとフン」「青葉繁れる」「モッキンポット師の後始末」、また、屋島の狸を題材とした「腹鼓記」や、私の愛読書の一つでもある「吉里吉里人」など、井上氏の有名な作品は数え上げてもきりがないほどです。その井上氏は、菊池寛の"素顔"に迫る著書を執筆されているほか、昭和47年には「手鎖心中」で直木賞を、平成11年には菊池寛賞も受賞されています。講演では、「菊池寛が描く
愛すべき日本の家族」と題して、あまり知られていない菊池寛の偉大な業績について、お話をしてくださいました。また、講演のほかにも、井上氏と菊池寛記念館名誉館長である菊池夏樹氏の対談や寛の作品の朗読も行われ、御来場の皆様には、菊池寛という郷土の偉人を改めて考える貴重な機会になったのではないかと思っており、そうした機会を与えてくださった井上氏に、深く感謝します。
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